花巻ロータリークラブ会長 (2019-2020)
花巻市には、三偉人と称される「宮沢賢治」「新渡戸稲造」「高村光太郎」の記 念館や記念物が展示してあります。宮沢賢治は言うまでもなく花巻に生まれ数々の作 品を残しましたが、新渡戸稲造の場合は先祖が 1598 年(慶長 3 年)から約 230 年間、花巻の地に居住し、花巻城士の文武両道にわたる指導にあたるとともに、新 田開発に情熱を傾けた一族だったという縁で「ゆかりの地」として知られています。「智 恵子抄」で知られる、芸術家・高村光太郎は東京のアトリエを空襲で失い、以前から交流のあった宮沢賢治の 弟の家に疎開し、7年間花巻の地で暮らしました。
この高村光太郎が「岩手の人」という詩の中で岩手人を称して、「沈 ちんしん 深牛の如し」、又、「地を行きて走らず、 企てて草卒ならず、ついに成すべきを成す」と評しています。「沈深」とは「沈着で思慮深いこと(さま)」で、つまり、口数は少なく、とっつきにくいが、物事に動じず沈着冷静に努力を積んで成功を収める不言実行タイプ のことです。コツコツと忍耐強く、努力を重ねながら、機を伺い、結果として成すべきを成すのが「岩手の人」 なのだと光太郎は感じていたのだと思います。ロータリーに限らず団体活動をするうえで“明るく、楽しく”運営 することが活動の継続に重要なことは言うまでもありませんが、「楽しい」という文字は「楽 らく 」とも読むように、と もすれば「楽しい」と「楽 らく 」を思い違いして、「親睦」だけに傾いてしまうことも少なくありません。私はロータリー の理念でもある「最も奉仕する者、最も多く報いられる」を基軸として、“楽じゃないけれど楽しい奉仕”を信念 に「岩手人」の誇りと忍耐をもってクラブ運営にあたります。
花巻ロータリークラブ会長:鹿討 康弘